今回は先日衆院本会議で、全会一致で可決・成立した改正育児・介護休業法についてです。「男性版産休」と呼ばれる今改正で男性の育児休業の取得が進む一方で、介護休業の取得も進んでいくのでしょうか・・・
改正育児・介護休業法が成立
「男性版産休」新設・最大4週間
昨今の働き方改革などで、男性も育児休業の取得をしやすくする制度ですが、現状の取得率はわずか7.48%と低く、1週間以内の取得が7割とういう男性の育休がこの改正法で変わっていくとも言われています。
男性の育児休業の取得が進まない原因は、「男性は育休を取りずらい」などの職場の風土になっていたり、一度に長期休業をすることが難しく、育休中に収入が減ったりすることが背景にあります。
改正のポイントは以下の通りです。
・育休取得の意向確認の義務化
・大企業には取得率の公表を義務化
・男性に「出生時育休」を新設
・男女問わず、1歳までに育児休業を2回に分割して取得可能(最大で4回に分けて取得可能)
このように政府は働く男性が休みやすい環境を作ることで、2025年までに男性の育休取得率を30%に引き上げていく目標です。
これまで様々な理由で取得しずらかった男性の育休ですが、法律が整備され企業も義務化により取得率が上がっていき、大企業だけでく中小企業にも取得しやすい風土になっていくと良いですね。
介護休暇・介護休業の認知度はまだまだ・・・
前述したように、男性の育休取得が進んでいく一方で、介護休暇・介護休業の理解はまだまだのようです。
ある調査では、民間企業に勤める20歳~60歳の2000人へのアンケートで、介護に関する制度の認知状況に関して、介護休暇の「内容も知っている」と回答したのは16%にとどまり、53%の人が「知らなかった」、31%の人が「知っているが内容は知らなかった」と答えました。
介護休暇と介護休業の違い
介護休暇と介護休業はどちらも、育児・介護休業法によって定められている制度です。
共通して要介護者の家族を介護するために取得できる休みですが、名称も似ていることから内容が混同されやすい傾向にあります。
異なる制度なので、違いをみていきましょう。
【介護休暇】
介護休暇は、要介護の対象家族1人につき、年に5日まで(2人以上であれば10日まで)、1日単位または半日単位(2021年1月より1時間単位)で取得できる休暇制度です。対象となる家族や範囲は介護休業と同じです。
介護休暇を取得するには、原則、事前に申し出ます。口頭でも構いません。なお、休暇取得当日に電話で申し出て、事後に書面で提出することも可能です。会社は、事業繁忙などを理由に申し出を拒否することはできません。
介護休暇中の賃金の支払い義務はありません。
【介護休業】
介護休業は、要介護の対象家族1人につき、通算93日まで3回を上限に分割して休みを取得できる制度です。入社1年未満の労働者などは対象外になる場合があります。
対象となる家族は、「2週間以上の期間にわたり常時介護が必要な状態(要介護2以上またはそれに準じた状態)となった」家族で、対象家族の範囲は、被保険者の配偶者(事実婚含む)、父母(養父母含む)、子(養子含む)、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。同居の有無、扶養関係の有無は問われません。
介護休業を取得するには、原則として、介護休業取得開始予定日の2週間前までに、会社に書面で申し出ます。会社は、事業繁忙などを理由に申し出を拒否することはできません。
介護休業中の賃金の支払い義務はありません。ただし、雇用保険から介護休業給付金(賃金の67%)が支給されます。介護休業給付金は、介護休業終了日の翌日から2カ月を経過する日の属する月の末日までに会社を経由してハローワークに申請します。
介護離職にいたるケースも・・・
家族が要介護状態になる多くの労働者は40代~50代の働き盛りです。
企業としては、経験豊かな中堅社員が一線から抜けしまうのは大きな損失となってしまいます。
あるアンケートでは・・・
介護同じ職場に介護問題を抱えている人が「いる」と回答した割合は21%、「いない」は39%でした。
また、過去3年間で自分の周囲に介護離職した人がいたと回答したのは13%にも上ります。
介護離職者にとっても、収入源がなくなるため経済的に困窮する状態に陥ることも。それにより生活保護に頼らざるを得ないケースも多く、高齢化社会が進む現代において看過できない社会問題のひとつとして懸念されています。
一人で悩まず誰かに相談を
介護休暇と介護休業を活用しながら、家族の介護を続けていく中でも心身ともに限界が来てしまうこともあるかと思います。
そんな時は、なるべく早い段階で施設への入居も検討していきましょう。
施設への入居は、費用やエリア、施設の種類も様々ですので、当社のような紹介センターをご活用いたき、希望の条件に合った施設を探していきましょう。
福利厚生としての介護離職防止
当社は企業向けに介護離職防止の一環として、福利厚生サービスの『WELLBOX』と提携しています。
年間約10万人いると言われている『介護離職』の問題ですが、まだまだあまり知られていないのが実情です。
当社のような、介護・福祉事業を行う企業が、これからも広く発信し続けていくことで、家族の介護を理由に離職されない世の中にしていきたいと思います。