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知っておきたい認知症と施設選びのポイント

先日、アルツハイマー病の治療薬としてアメリカの製薬会社と日本のエーザイが共同で開発した新薬が、アメリカのFDA(食品医薬品局)においてアルツハイマーの原因と考えられる脳内の異常なタンパク質を減少させる効果を示したとして治療薬として承認されたと発表がありました。これによって、アルツハイマー病への意識が高まり、より認知症への理解が深まることで、認知症患者や介護者にとっても明るい未来がくるといいですね。

そこで今回は基本的な認知症のことと、施設選びのポイントについて説明していきます。

認知症の有病者数と原因

高齢社会が進むとともに、認知症の患者数も増加しています。
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計」に関する研究では、2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%約602万人となっており、6人に1人が認知症の有病者と言えます。
また、
2025年には5人に1人、20%が認知症になるという推計もあります。

このようなことから、加齢とともに切り離すことのできない認知症ですが、その原因や症状、種類などはまだまだあまり広く知られていません。
今回は基本的なところをまとめていきたいと思います。

「認知症」とは?

認知症と一括りにすることが多いですが、その最大の原因が加齢であり、誰にでも起こりうる病気です。

以前は、「ぼけ」「物忘れ」「痴呆」などという言葉が使われていまたが、2004年に厚生労働省より介護現場ではそのような言葉は廃止され認知症と改定されました。
実際私が介護業界に入ったのが2001年の介護保険スタートの時で、まだ「痴呆」が一般的に使われていました。
この言葉は人格を無視した表現であり、良くないイメージを与えてしまうため、用語の見直しされました。
ですが、このこと自体を知らない介護・医療業界以外の方は「痴呆」と言われる方もいますが、これは致し方ありません。
もし、皆さんの周りにまだ痴呆という言葉を使っている方がいたら、少しずつ訂正していってもらえるといいですね。

「認知症」とは、さまざまな原因で脳の細胞が死んでしまったり、その働きが悪くなって障害が起こり、生活のいろいろな場面で支障が出る状態のことを指します。

また認知症は病名ではなく、病名が決まっていない❝症候群❞で、医学的にはまだはっきりとした原因も診断も決めれれない状態です。
ですが、何らかの原因で脳機能が変質していることは明確な点から「病気」と言えますので、周囲の人がそのことを理解することが大切となってきます。

冒頭での最新の研究や、今でも世界中で認知症の原因解明や薬による臨床実験などが行われています。


4大認知症とは?

誰しもうっかり時間を忘れてしまったり、物をどこにしまったかを忘れるということはあります。これは単なる物忘れですが、認知症では約束したこと自体を忘れてしまったり、物をしまったこと自体を忘れてしまい、本人に忘れたという自覚もなくなってしまいます。
そのため、物がなくなったことを「盗られた」と思い込んでしまうこともあります。(物盗られ妄想)
脳の機能が低下し、日常生活に支障をきたすようになり、記憶力・判断力だけでなく進行すると身体機能も低下し寝たきりとなることもあります。
認知症には次にあげられるような種類があり、その頻度の高いものを説明します。

アルツハイマー型認知症(約60%)

脳にアミロイドβという物質が沈着し、神経細胞の障害が起こります。物忘れで程度から発症することが多く、主に新しいことが覚えられなくなったり(短期記憶障害)、進行すると日付や金銭管理、家事も行えなくなります。
初期には症状が目立たないため、周囲の方が気づくことが難しいです。
根本治療はまだありませんが、進行を遅らせる薬はあります。

脳血管性認知症(約20%)

主に脳梗塞や脳出血が原因で、初期は病変が小さくても再発を繰り返して認知症になることもあります。
意欲低下が目立ち、脳梗塞(脳出血)でみられるような歩行障害や言語障害、嚥下障害を伴います。
脳梗塞(脳出血)を予防して認知症の進行を抑えるように努めます。

レビー小体型認知症(約10%)

脳にαシヌクレインという物質が沈着して、神経細胞の障害が
起こります。
❝幻視❞などがみられるのが特徴で、他にも臭覚低下や睡眠中の異常行動、パーキンソン病などがあります。
検査では脳の前頭葉に障害がみられますが、根本治療はまだありません。進行を遅らせる薬があります。

前頭側頭側(ぜんとうそくとうがた)認知症

まれに起こる前頭側頭型認知症は、人格や行動の変化が特徴です。(堂々と万引きをする、関心がないと勝手に出ていく、毎日同じものを食べるなど)
言語が話せなくなってり、言葉の意味が分からなくなるタイプなどがあります。

軽度認知障害(MCI)とは?

前述したように認知症には主に4種類あり、原因や症状、進行のスピードもさまざまです。

昨今では、健常者と認知症患者の中間にあたる「MCI」(Mild Cognitive Impaiement)軽度認知障害という段階(グレーゾーン)もあると言われています。
「MCI」とは、認知機能(記憶力、言語能力、判断力、計算力、遂行力)に多少の問題が生じているが、日常生活には支障がない状態のことです。

ですが、この「MCI」の段階で認知機能の低下にいち早く気づき、対策を行っていくことが認知症の予防には大切になってきます。

認知症でも老人ホームには入居できる?

認知症の症状があると老人ホームには入れないと思っている方や不安な点も多いと思います。
前述したように認知症の症状もさまざまで、少しの支援であったり環境の整備、または専門的なケアを通して一人ひとりに適した生活の場を見つけることで、継続して安心安全に暮らしていけることができます。
軽度の認知症から入居できる老人ホームや、認知症の方を専門的に受け入れている施設もありますので紹介したいと思います。

● 特別養護老人ホーム
● 認知症高齢者グループホーム
● 介護付有料老人ホーム
● 住宅型有料老人ホーム
● サービス付き高齢者向け住宅

この他にもケアハウス、小規模多機能型居宅介護施設など、認知症のケアを行っている施設は多くあります。

グループホーム

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の方を対象とした施設です。
1ユニット5~9人という少人数で、家庭的な雰囲気の中で生活できるのが特徴です。
スタッフと一緒に食事や入浴などの日常生活の援助や機能訓練を受けることが可能です。

《グループホームに入居できる条件》
● 認知症の診断を受けている
● 共同生活ができる
● 施設がある市町村に住民票がある
● 要支援2以上の要介護認定を受けている

有料老人ホーム

有料老人ホームには、「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類に分類されています。
各施設で入居の要件が定められていることが多く、認知症への対応もさまざまです。
施設によっては、看護師や介護スタッフを手厚く配置して柔軟に対応しているところや、ハード面で認知症の方への対応を強化しているところもあります。
認知症の方の受け入れについては、それぞれ施設へ確認する必要があります。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、生活相談や安否確認といったサービスを提供する高齢者向けの住宅です。
基本的には60歳以上の方、または要介護・要支援認定を受けた60歳未満の方が入居の対象です。
各施設でサービス内容や入居対象者に差があり、施設によっては認知症の方に対応できるように、スタッフ数などの体制を整えているところもあります。


注意が必要なのは、「サービス付き」高齢者向け住宅といっても、施設で提供されるのは「介護サービス」ではないということです。介護サービスや配食サービスなどは、外部の事業者と別途契約する必要があります。

まとめ

認知症の基本的なことと、認知症の方でも入居できる介護施設があることは分かっていただけてと
思います。

今後さらに増加する「MCI」を含めた認知症の方を、日本全体と地域、そして家族で支えていけるように認知症への理解を深めて、早期の治療と環境の整備を行うことでお一人おひとりの人格を尊重して適切な支援ができる社会になっていくと良いですね。

また、介護現場においても「認知症ケア専門士」や「認知症介護実践者研修」などの資格があり、より認知症の方への専門的なケアを行えるプロがいます。
これから介護施設への入居をお考えの方は、このような点も参考に施設を選んでいくことも大切になってきます。

各施設の受け入れ状況や、体制などは当社の専任のアドバイザーがお手伝いさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

~高齢者住まいの相談室~
老人ホーム紹介センターココテラス

TEL:090-3482-0294
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